介護の仕事にも、「正社員」「パート・非常勤」「ギグワーカー」「派遣社員」といった働き方があります。
新人のうちは正社員、時間がほしければギグワーカー、給料を求めるのであれば派遣社員。
それぞれの働き方に、それぞれのメリット・デメリットがあります。
自分にあった職場を見つけるためにも、それぞれの特徴を解説していきたいと思います。
介護の現場は離職率が高い
介護の現場では人手が足りていません。
現場で働いている方は、肌身を持って感じるところだと思います。
その背景にあるのは、高齢化社会です。
高齢者の数が増えているので、介護職員が増えていっても、介護職員は足りない状態が続いています。
下の図を見てください。
これは、厚生労働省が作成した資料です。
介護の職員は年々増加しています。
その増加と並行して、高齢者が増えているのがわかります。
しかしながら、介護職員の給料は税金で賄われているため、財源に限りがあります。
数が増えれば増えるほど、一人にかけられるお金が少なくなってしまうので、介護の現場が薄利多売にならざるを得ないというのが現状です。
介護職員の労働環境が、その制度の仕組みからしても、悪くならざるを得ないというのが現状です。
労働環境には当然人間関係も含まれます。
すべての介護の現場の人間関係が悪くなるわけではありませんが、介護スタッフに無理を強いている状態があるので、離職に繋がりやすいです。
ましてや、どこの現場でも人手不足なので、今の職場をやめてしまっても、次の就職先に困ることはありません。
そのような点でも、介護職の離職に拍車がかかってしまっているのです。
高齢化の波は続きますので、介護職員が余る時代はまだ先でしょう。
ですが、自分に合わない環境を転々とし続けるのは、なかなかしんどいものです。
早いうちに自分にあった働き方を見つけることが重要と言えるでしょう。
財源の関係から、介護の労働環境は悪くなりやすい。
特に人間関係には注意が必要。
資格を活かすは時間を活かす
介護・医療系の資格は個人単体では活かすことができません。
他の士業の場合、例えば弁護士や税理士などは、自分ひとりで独立する琴桜できるでしょう。
しかし、介護や医療の資格の場合、それを活かすには必ず病院や施設、または会社が必要になります。
なぜなら、介護の資格を活かすには診療報酬や介護報酬を利用することになります。
資格を活かすということは、国の制度に組み込まれるということです。
国の制度は、会社を前提にして組まれていますので、自分の働いた時間の評価をどれだけ高めるのかということが重要となります。
もちろん、自分の働く時間をお金に変える人もいれば、やりがいだったり、人間関係、もしくはいい仕事に変えるのがいい人もいるでしょう。
資格を活かすということは、その資格で自分が何を得たいのかということを考えることが必要です。
その優先順位がつけられれば、自分の働く方向性が見えてきます。
今の自分が報われないと感じているのであれば、もしかしたら頑張る場所を間違えているのかもしれませんよ。
働き方もろもろ
今回は働き方を「正社員」「パート・非常勤」「ギグワーカー」「派遣社員」の4つに分類しました。
それぞれの特徴と実現するための対策、将来性などを見ていきましょう。
正社員
まずは、働き方の王道、正社員です。
学校を卒業したあと、起業などの進路を取らない人の大半がこの道に進みます。
最初に働き、最後に戻ってくるのが正社員でもあると言えます。
メリットは、働きながら仕事を覚えることができます。
会社では、一通りの業務をこなせるような社員教育が行われます。
介護の基本的な業務に自身がない新人の場合は、正社員として働くことをおすすめします。
働いていくうちに、昇進や出世することができるのも正社員です。
デメリットとしては、人間関係が固定化されやすかったり、残業が長かったり、出世するまでは給料が安いなどが挙げられます。
組織ぐるみで動くことになりますので、うまく行けば一番幸せな働き方ができるのも正社員だと言えるでしょう。
現状では、よく気がつく人や頑張り屋の人にしわ寄せが行くことが大半ですので、損する働き方であると言われることも多いです。
パート・非常勤
パートや非常勤は、正社員に比べて労働時間が短い働き方です。
職場から、やや距離をおいては多々楽事になりますので、仕事の責任感や人間関係に煩わされることも少ない働き方です。
給料の形態は、正社員と大きく変わりませんが、税金を自分で支払わなくてはならないケースが多いです。
時間に融通がききやすいので、子育てや介護で時間が限定される人に好まれる働き方でもあります。
最近では、自分の事業に取り組みながらパートで働くという新しい働き方も増えてきています。
特にデメリットはありませんが、ずっと続ける働き方ではないのかなというような印象です。
ギグワーカー
近年新しく生まれた働き方です。
ギグワーカーとして代表されるのは、なんといっても「Uber Eats」でしょう。
働きたいときにサクッと働けるのが魅力です。
介護の世界でも「カイスケ」や「イチロウ」といったワークシェアリングがひろまりつつあります。
魅力は時間の自由さ。
Uber Eatsのように一日の中で働きたい時間だけというのは難しいですが、働きたい日にちの自由さはあります。
また、人間関係からも自由になることができます。
ある意味では、仲間が生まれにくい働き方とも言えますが、自由がとにかく好きな人には素晴らしい環境を提供してくれるでしょう。
デメリットをあげるとすれば、労働単価が非常に安くなりがちです。
こればかりはどうすることもできません。
派遣社員
派遣社員は派遣会社から、介護施設に派遣される働き方です。
派遣会社が労働環境や条件、給料まで交渉してくれます。
期間を限定して働きたい人や、週4日で働きたいなど細かい条件も相談に乗ってくれます。
なにより、高時給で働くことができるのが大きな魅力です。
デメリットとしては、将来性がないことです。
昇給やボーナスが無いので、頑張っても報われません。
しかし、もともと高時給ですので短期間で職場を変えたい人にとっては、むしろ好条件と言えるでしょう。
正社員 | パート | ギグワーカー | 派遣 | |
スキル | ◎ | ○ | ○ | ○ |
人間関係 | ◎/✕ | ○ | ◎/✕ | ○ |
給料 | △ | △ | ✕ | ◎ |
やりがい | ◎/✕ | ○ | ○ | ○ |
時間 | ✕ | ○ | ◎ | ○ |
スキルは、基本的な研修を受けられることができるという点と、他の働き方ではできない業務を行うことができるという点で、正社員を二重丸としています。
介護の対人スキルはどの働き方であっても、経験を積むことができるはずです。
人間関係については、密な人間関係を良しとするかどうかで、評価が変わるので、正社員とギグワーカーを◎/✕としています。
給料は、はっきりと分かれています。
業界全体として、ものすごく良い給料を得るのは難しいと言えるでしょう。
はっきりと言えるのは、派遣が良くてギグワーカーは悪いです。
正社員として、施設長クラスまで出世するというやり方もありますが、介護の資格を活かすという点では少し方向性がずれるので、除外しています。
やりがいは、介護の仕事の時点ですべての仕事が○でしょう。
チームとしてよく動けたときの正社員のやりがいは大きいですが、雑務に追われるようになると最悪です。
時間は、ギグワーカーの圧勝です。
正社員は現代における奴隷労働ともいわれるほど、時間の自由が少ないと言えるでしょう。
まとめ
環境に恵まれれば、正社員のメリットは大きいです。
しかし現実には、そのような職場に出会うことは非常に難しいでしょう。
それを裏付ける意味でも、介護の人手不足や離職が問題となります。
自分にとって何を重要視したいのかで、働き方を選ぶことをおすすめします。
最初に介護職としての実力をつける期間は、正社員で働き、お金が欲しくなったら派遣社員、時間が欲しくなったらギグワーカーなどを経て理想の職場を見つけていきましょう。